コーポレート・ガバナンス(企業統治)

当社グループは、いかなる経営環境の変化にも対応できる企業体質の確立を重要課題と認識し、競争力のある事業の育成を通じて、持続的かつグローバルに発展することを経営の基本方針としております。このためには、コーポレート・ガバナンスを充実させて迅速かつ合理的に経営の意思決定をし、チェック機能を確保することが重要と認識しています。

コーポレート・ガバナンス体制

当社は、取締役会の規模を必要最小限としていますが、業務執行の監督を効率的に行うため、取締役会の下部機関として指名報酬委員会および社外役員連絡会を設置しています。また、業務執行上のリスク低減を目的として、投融資、リスク管理、サステナビリティに関する各種委員会を設置し、客観性と透明性を確保したうえで専門的な議論を行っています。
委員会での議論や重要案件については、経営会議および取締役会への報告を求め、相互連携を図っています。さらに、監査役会、監査部、会計監査人が連携して業務執行を監査することで、監査の実効性を高めています。
これらのガバナンス体制が効果的に機能を発揮できるよう、各機関の機能強化と連携の深化に努めています。

コーポレート・ガバナンス体制図
コーポレート・ガバナンス体制図
当社のコーポレート・ガバナンス強化の遍歴

当社グループでは、透明性や客観性を高めるためのガバナンス強化を図ってまいりました。取締役会におけるダイバーシティを一層高めるため、独立性のある女性取締役、女性監査役を招聘し多様で専門的な意見の充実を図ってまいりました。また、役員人事はガバナンス委員会を活用して社外役員の意見を反映するように努めてまいりましたが、さらなる議論の深化を図るため指名報酬委員会として独立させました。これにより指名領域・報酬領域における近年の動向を踏まえた取り組みを実行し、透明性の確保に努めております。
さらに社外役員間の意見や情報を密にとることで課題認識の共有を図るとともにガバナンス委員会を社外役員連絡会に発展的に再編し取締役会との連携強化を進めております。

コーポレート・ガバナンス強化の返還

 

コーポレート・ガバナンス強化に向けた主な取り組み

コーポレート・ガバナンス強化に向けた主な取り組み
 
取締役会の議論のさらなる活性化

取締役会のバランス、多様性、規模に関する考え方

取締役会は、必要最小限の規模とし、意思決定を迅速かつ効率的に行える体制とすると同時に、国際性を含む多様な経験・知識・能力を備えたメンバーで構成することで、取締役会の適正規模と多様性の両立を図っております。また、社外取締役を3分の1以上選任することにより、業務執行の決定における公平性及び透明性を確保しております。

スキルマトリクス

当社は、「素材から製品までの一貫生産」を強みとし、いかなる時代においても変化に的確に対応しつつ、自動車や建設機械をはじめとする多岐にわたる分野へ製品を提供することで、社会への貢献を果たしながら持続的な成長を目指しております。
この目標を実現するためには、多様な知見と経験(以下、「スキル」という)を有する取締役および監査役が取締役会において活発に討議を行い、深い議論を重ねることが重要であると認識しております。
特に、変化の激しい事業環境において基盤事業の強化と戦略事業の育成を図るとともに、人的資本ならびにサステナビリティ(ESG)の視点を重視した経営を推進するためには、上場企業として求めるスキルと、当社の成長戦略の実現に必要と考えるスキルの双方が不可欠であると考え、当社ではスキルマトリックスとスキルの選定理由を下表のとおりといたしました。

 
スキルマトリクス
 
スキルの選定理由
 
取締役会および下部機関の構成


取締役会のダイバーシティ

取締役の選任については、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、多様な経験・知識・能力を備えたメンバーで構成することで取締役会の多様性を図っております。

役員の報酬について

(1)役員の報酬等の額の決定に関する方針

取締役の報酬等の額の決定に関する方針は取締役会において決定します。社外取締役を除く取締役の報酬等の額は、役位に応じた基本報酬(固定)のほか、賞与及び株式報酬としています。

社外取締役については、各社外取締役の幅広い知見・経験に基づく助言を経営に反映するために就任いただいているものであり、その役割・職務内容を勘案し基本報酬(固定)のみとしています。
取締役の個人別の報酬等の内容については、代表取締役社長執行役員がその具体的内容について委任を受けるものとし、当該権限が代表取締役社長執行役員によって適切に行使されるよう、取締役会が社外取締役を過半数とする指名報酬委員会へ諮問をし、同委員会の答申を経る体制としています。

(2)報酬に係る指標、指標の選択理由及び報酬額の決定方法

報酬体系

 
報酬体系図


賞与

単年度の連結営業利益額に加えESG指標(E:CO2排出量、S:労働災害件数、G:取締役会実効性評価)を導入しており、一定の時期に取締役に対し支給します。指標として、連結営業利益額及び各ESG指標を選んだ理由は、着実な年度収益向上への意欲を向上させるとともに、中期経営計画で基本方針の1つと位置付けているESGに関する目標達成への意欲を向上させるためであります。

業績連動型株式報酬

中長期的な業績向上及び企業価値の増大へのインセンティブを高めることを目的として、BIP(BoardIncentive Plan)信託と称される仕組みを導入しております。事業規模を拡大するとともに収益性及び資本効率性の向上が中長期的な企業価値向上に資すると考え、中期経営計画目標値に対する連結売上高、連結営業利益、ROE、ESG指標(E:CO2排出量、S:エンゲージメントサーベイ、G:取締役会実効性評価)の達成度を指標としております。
中期経営計画終了時又は退任時に、毎年役位に応じて付与されるポイントに業績指標の達成度に応じて0%~200%の範囲で変動する業績連動係数を乗じたポイントの50%に相当する株式を交付し、残りについては株式の換価処分金相当額を支給しております。

取締役会の実効性分析・評価

当社は、コーポレート・ガバナンスの向上に向け取り組んでおり、取締役会が実効的にその役割を果たしているかについて、毎年、各取締役及び各監査役による評価に基づき分析・評価を実施しております。

1.実効性評価の実施プロセス及び評価方法

2024年度の取締役会の実効性評価については、実効性を客観的に検証する観点から初めて第三者機関を起用して実施いたしました。外部の独立した専門家の協力を得て、取締役及び監査役へのアンケートを作成し、その回答を踏まえ、全取締役及び全監査役への個別インタビューを行いました。
また、指名報酬委員会及び社外役員連絡会についてもあわせて実効性の評価を実施しました。

(1)実施プロセス

 2024年11月:第三者機関と協議のうえ作成したアンケートを全取締役及び全監査役へ実施
 2025年 1月:アンケートの回答結果をもとに、第三者機関から全取締役及び全監査役へインタビューを実施
 2025年 3月:アンケート・インタビューの分析結果について第三者機関より報告を受け、その報告に基づき全取締役及び全監査役により取締役会の実効性に
        ついて議論

(2)アンケート

5段階評価(5:有効、適切 4:どちらかといえば有効、適切 3:どちらともいえない 2:どちらかといえば改善余地あり 1:要改善、不適切)により、以下テーマの下で設定した全33問について評価するとともに、必要に応じて自由記述欄にコメントを記入する方式としました。

 ① 取締役会の構成と運営
 ② 経営戦略と事業戦略
 ③ 企業倫理とリスク管理
 ④ 経営陣の評価と報酬
 ⑤ 株主等との対話
 ⑥ 指名報酬委員会(指名報酬委員会メンバーのみ回答)
 ⑦ 社外役員連絡会(社外役員連絡会メンバーのみ回答)

(3)インタビュー

アンケートの回答を踏まえ、今後も継続していくべき当社取締役会の「強み」や「課題」や「対処策」について全取締役及び全監査役を対象に第三者機関による個別インタビューを実施しました。

以上のプロセスによる取締役会評価の結果、2024年度の取締役会については、その実効性に関する重大な懸念等はなく、取締役会の運営方法、取締役会の審議、取締役会の構成等は概ね適切であり、取締役会全体としての実効性が確保されていると評価しております。 なお、前年度(2023年度)の実効性評価において認識した課題への取組状況並びに今回(2024年度)認識した課題及び今後の対応策は下記のとおりです。

2.前年度(2023年度)の実効性評価において認識した課題への取組状況

(1)2023年度課題

 ① 人材戦略・人材育成
  ・エンゲージメントサーベイに基づく改善施策に対する推進状況の可視化(共有)
  ・中核人材の多様性確保に対する施策の立案及び実行

 ② 新規事業
  ・成長が期待できる戦略事業の議論の更なる充実

(2)2023年度課題への取組み

 ① エンゲージメントサーベイに基づく改善施策の推進について一定の取組みが進められたことに対する評価がある一方、経営戦略としての人材戦略・人材育成
   の議論については、まだ十分になされておらず、取締役会において引き続き重要な経営課題として取り組む必要がある。

 ② 新規製品に関する議論や新規事業創出チャレンジプログラムが実施されていることに評価がみられる一方、取締役会において引き続き重要な経営課題として
   取り組む必要がある。

3.今年度(2024年度)認識した当社取締役会の「強み」と主要な課題(今後の対応を含む)

(1)当社取締役会の「強み」

 ① 社外役員から自由闊達で建設的な意見が述べられている
  →議長が発言しやすい雰囲気を醸成しておりまた、うまく社外役員の意見を引き出していること
  →発言により課題や宿題が残った場合には執行側が真摯に対応しており、それによってさらに発言しやすくなる好循環があること
  →決議事項・報告事項以外に審議事項が設定されていること

 ② メンバー構成が適切で社外取締役が知識・経験・能力を活かして貢献している
  → 独立社外取締役が各自のバックグラウンドを活かして、取締役会での助言のほか、社外役員連絡会・指名報酬委員会でも貢献していること

 ③ 透明性が高く改善に対する意識が高い
  → Bad News First が心がけられており取締役会にも比較的早い段階で情報が共有されること

 ④ 指名報酬委員会・社外役員連絡会が活発に活動している
  →社外役員同士の情報共有やコミュニケーションの場として有益であり、執行側への提言等についても活発で意欲的であること
  →人材要件の設定や 360 度評価に取り組むなど活発に活動していること

(2)2024年度の課題及び今後の対応策

 ① 中長期的な視点での戦略や経営課題に関する議論の充実(人材戦略・人材育成、新規事業を含む)
    対応策:取締役会規則改定(付議・報告基準の見直し)
        → 着手しており改定済
    対応策:オフサイトミーティングの実施
        → 5月から社長執行役員と社外取締役間で実施し今後も定期的に実施予定

 ② 社外役員と社内役員との認識ギャップの解消
    対応策:社外取締役と執行側とで経営上重要な課題で対話の機会の設定

今後は、これらの対応策を随時実行し、その結果を評価し更なる改善につなげていくことで、より実効性のある取締役会を目指してまいります。

内部統制に関する重点項目

取締役会制度と監査役会制度の機能強化

取締役会はグループ全体の経営戦略を方向付ける場であり、意思決定の迅速化に留意しつつ経営の基本方針策定、法令・定款で定められた事項、その他経営に関する重要事項の決定及び取締役の業務執行の監督をしています。また、社外取締役及び社外監査役が取締役会に出席し、業務執行の決定における公平性・透明性を確保しています。
その他に、より実効的なコーポレート・ガバナンス追求のため取締役会の下部機関である社外役員連絡会において独立社外取締役間の情報交換と認識共有等を実施することで、取締役会の監督機能を強化しています。

経営会議による業務執行の審議ならびに法令遵守・危機管理強化

取締役、監査役、執行役員等を構成メンバーとした経営会議を毎週定例的に開催し、重要な業務の執行、法令遵守、危機管理について審議し、対応しています。

財務報告に関する内部統制

内部統制委員会及び取締役会は、2023年度の財務報告に係る内部統制について一般に公正妥当と認められる評価基準に準拠して有効であると評価しています。また、監査法人からも当該評価は適正であるとの監査意見をいただいています。

内部統制システムの強化

「内部統制に関する基本方針」について毎年見直しを行い、取締役会で決議するとともに、その運用状況を事業報告において開示しています。