カーボンニュートラルに向けて

CO2削減目標

当社は、2050年のカーボンニュートラル(Scope1,2)を掲げ、そのマイルストーンとなる2030年度目標は、鋼材部門とその他部門に分け、以下のとおり設定しています。2030年までに30~40億円の設備投資を実施し、その達成を目指します。

  • 鋼材部門

    CO2フリーインフラ整備でカーボンニュートラルを目指す。
    目標は原単位10%削減の180千t(2013年度比)

  • 他部門

    CO2フリー電力の利用増により、削減目標を総排出量
    50%削減から75%削減の11千tまでに拡大(2013年度比)

燃料エネルギー転換を積極的に進め、2050年度のカーボンニュートラル(実質ゼロ)を目指します。

カーボンニュートラルに向けた削減目標

【鋼材部門の特徴】
室蘭コンビナートでは、燃料はコークス炉から発生する副生ガスを再利用し、電力はコンビナート自家発電を使用している。
【課題】
原単位で10%削減では、株式市場の要請に対し不十分
→ CO2フリー電力購入を主体として室蘭拠点で排出する CO2の約30%削減へ向け、計画を前倒して対応開始

カーボンニュートラル推進体制

2021年8月に全社横断的な「カーボンニュートラル委員会」を創設し、2050年度のカーボンニュートラル実現に向けての検討を始めました。
2021年11月には、当社のサステナビリティ推進に向けて「サステナビリティ委員会」を新設し、「カーボンニュートラル委員会」はその下部組織の一つとして対応する体制といたしました。
カーボンニュートラル委員会の推進リーダーは、20~30代の若手を起用し、長期の展望を描けるようにしました。
海外の取り組みとして、2022年8月より、CO2排出量の多いインドネシア事業も委員会組織に入れて活動を始めました。
他の海外拠点におきましても、順次取り組みを進めます。

カーボンニュートラル達成ロードマップ

2050年度のカーボンニュートラル(実質ゼロ)を目指し、以下のとおりカーボンニュートラル達成ロードマップを策定いたしました。

  • 2022年度の取り組み実績:鋼材以外の部門では、2022年度より3拠点でCO2フリー電力の購入を始めました。千葉製作所の電力100%をCO2フリー電力に移行し、約8千t(他部門2013年度比18%相当)を削減いたしました。
  • 2023年度の取り組み施策:広田製作所の合理化及び電力100%をCO2フリー電力に移行し、約5千t(同10%相当)削減を中心に取り組んでおり、足元では順調に進捗しています。
2050年度に向けたカーボンニュートラル達成ロードマップ

Scope3カテゴリー別CO2排出量

単位:千t-CO2
カテゴリー2021年度2022年度算定方法
鋼材ばね、素形材、
機器装置、運輸
鋼材ばね、素形材、
機器装置、運輸
1. 購入した製品・サービス1,07573921104原材料の購入量または購入額にCO2排出原単位を乗じて算出
2. 資本財6733設備投資額にCO2排出原単位を乗じて算出
3. Scope1、2に含まれない燃料
及びエネルギー関連活動
42256322購入電力量、燃料の使用量にCO2排出原単位を乗じて算出
4. 輸送・配送(上流)233131省エネ法報告の燃料使用量および
カテゴリー1購入量にCO2排出原単位を乗じて算出
5. 事業から出る廃棄物0111廃棄物量にCO2排出原単位を乗じて算出
6.出張0000従業員数にCO2排出原単位を乗じて算出
7. 雇用者の通勤0100従業員数にCO2排出原単位を乗じて算出
9. 輸送、配送(下流)5344省エネ法報告の燃料使用量および個別輸送毎にCO2排出原単位を乗じて算出
15. 投資0000保有株会社のCO2排出量に資本比率を乗じて算出
合計1,130143993164 
集計範囲: 当社(本社、支社・営業所、技術開発センター、工場、部品事業部各サービスセンター)、三菱製鋼室蘭特殊鋼㈱、三菱長崎機工㈱、菱鋼運輸㈱
算定方法:「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.3)」および「LCIデータベース IDEA Ver.3.3」
インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入

当社は、2022年度下期より国内事業においてICPを用いてCO2削減効果を仮想金額で上乗せすることで、カーボンニュートラル関連の設備投資を推進しております。

  • 内部炭素価格:10,000円/t-CO2
  • 適用範囲:国内事業における設備投資
役員報酬制度の見直し

当社は役員報酬制度を見直し、2023年度より賞与と株式報酬の評価指標に非財務指標を組み入れることを指名報酬委員会および取締役会で決定しました。環境指標ではCO2排出削減が対象となり、目標に対する達成状況が支給額に反映されます。

海外でのカーボンニュートラルに向けた取り組み
  • 各国のカーボンニュートラル目標に合わせ、省エネ技術の各拠点への導入を推進いたします。
  • インドネシア(JATIM)では電気炉によるカーボンニュートラル・スチール、ばね事業ではカーボンニュートラル・ばねの需要調査および製造検討を進めます。

環境負荷低減の取り組み事例

購入電力の100%CO2フリー化(千葉製作所・広田製作所)

千葉製作所では、2022年4月より電力会社より購入する全ての電力をCO2フリー電力に切り替えました。また広田製作所でも、2023年4月よりCO2フリー電力への切り替えが完了しています。これにより、当社の主要拠点4工場の内、2工場の電力のCO2フリー電力化が完了したこととなります。

拠点CO2排出量削減見込
(導入前と比較して)
導入時期
千葉製作所約8.3千t(約50%)削減2022年4月
広田製作所約7.6千t(約90%)削減2023年3月

自動車用巻ばねの戻し炉コンベアの省エネ化(千葉製作所)

自動車用巻ばねの戻し炉工程において、コンベア上に設置する「搬送用のコンベアスラットプレート」を薄肉化・穴あけして、軽量化を行いました。これにより、加熱に使用するエネルギー(都市ガス使用量)を削減することができました。(CO2削減量に換算すると、年間約560tの削減)

現行スラット配置状況

鋼材切断用ガスの水素代替活用によるCO2削減(室蘭製作所) ※チャレンジ・ゼロ イノベーション事例

連続鋳造機で鋳込んだ鋳片をLPGのガス切断装置にて最終製品に応じた長さに切断しています。このLPGを水素へ転換することでCO2排出量をゼロとすることを目標としています。
連続鋳造機で鋳込んだ鋳片の切断用燃料をLPGから水素ガスに置き換えるべく、試験・検証段階から恒久設備化に向けた改造に取り組んでおります。

鋳片切断の様子