製品を通じた環境負荷低減

当社では、「環境にやさしい製品」を重要課題の一つに掲げ、自社だけでなくお客様や社会全体の環境負荷低減に資する製品の開発・販売を行っています。

再生可能エネルギー関連(洋上風力発電関連機器)

三菱製鋼グループの三菱長崎機工㈱は、洋上風力発電への取り組みとして、洋上風車の関連製品や、建設に必要な機器装置類の製造を行っており、洋上風車関連製品の生産能力向上を目的とした工場設備の増強等にも力を入れてまいります。
また、三菱製鋼室蘭特殊鋼㈱では、洋上風力発電設備向け部品用鋼材のサプライヤーとして「TPG認証」を取得するなど、製品大型化に対応できる当社グループの強みを生かして、洋上風力の国産サプライチェーン構築に寄与すべく、取り組んでまいります。
さらに当社は、北海道室蘭市で洋上風力関連事業を誘致し、地元産業の活性化を目指すことを目的に発足した「MOPA(室蘭洋上風力関連事業推進協議会)」に加入して、洋上風力発電を活用した低炭素社会への実現に向けて取り組んでいます。なお2021年11月からは、当社の関根顧問が会長に就任しています。

サーキュラーエコノミー(資源循環型社会)に向けた取り組み

三菱製鋼グループの三菱長崎機工㈱は循環型社会の実現へ向けて各種選別機の製造を行っています。
廃家電や廃モータなどの雑品屑から各資源を高精度に分別し、リサイクル可能な資源を回収する各種磁力選別機や色彩光学選別機を組み合わせた選別ラインを開発しました。
今後普及が見込まれるEVに搭載されるモータには、銅の使用が不可欠であり、都市鉱山から銅を高精度に効率よく回収できる本システムは、将来的な銅不足という課題の解決に大きく寄与します。

各種選別機を組み合わせた選別ラインイメージ図
各種選別機を組み合わせた選別ラインイメージ図
「2023NEW環境展」に出展

同社の各種選別機を、5月24日~26日に東京ビッグサイトで開催された「2023NEW環境展」に出展しました。
NEW環境展は環境ビジネスを展開する企業が一堂に会する展示会で、国内企業のみならずアジアやヨーロッパの環境機器メーカーが参加し、環境装置の展示会としては国内最大規模を誇ります。
3日間合計で1,000名を超えるお客様にブースを訪問いただき、サーキュラーエコノミー(資源循環型社会)の実現に向けた取り組みにおける金属リサイクル分野への注目度と関心の高さがうかがえました。

展示ブースの様子
展示ブースの様子
多くの来客者を迎えた三菱長崎機工ブース
多くの来客者を迎えた三菱長崎機工ブース

環境にやさしい材料開発

一部テーマは産学連携で推進中

鍛造・熱処理工程の省略

結晶粒制御の材料開発
結晶粒制御の材料開発

リチウムイオン電池用の材料開発

バッテリーの高容量化・軽量化
バッテリーの高容量化・軽量化

自動車の軽量化|FRPばね

Fe系ばね材に対して80%軽量化
Fe系ばね材に対して80%軽量化

環境配慮製品に向けた粉末の開発

3DP用金属粉末の開発
3DP用金属粉末の開発

研究開発の詳細については、「技術開発センター」をご覧ください。

非調質鋼、鍛造後直接焼入れ用鋼

自動車・建設機械では多くの鍛造部品が使用されています。通常鍛造部品は、熱間鍛造(約1,200℃まで加熱)後、常温まで冷却されたのち、再度800℃以上の温度まで加熱され、焼入れ・焼戻しの熱処理を行います。
エネルギー削減及び工程簡略の観点から、当社では、以下の材料でお客様のCO2排出量削減に貢献してまいります。

  1. 1非調質鋼
    • 炭化物、窒化物形成元素を添加した析出強化型鋼です。さまざまな強度レベルに対応しています。
    • この材料を使用し、熱間鍛造後の冷却速度を制御することで、所定の機械的特性(強度、靭性)が得られます。従って、鍛造後の焼入れ・焼戻しの熱処理が必要ありません。
  2. 2鍛造後直接焼入れ用鋼
    • 部品によっては、非調質鋼では特性を満足できず、焼入れ・焼戻しが不可欠となる場合があります。
    • 熱間鍛造時に残存する熱を利用して、鍛造完了後そのまま焼入れを可能とする材料の開発に取り組んでおります。
    • 材料と適切な鍛造条件の組み合わせで、鍛造後直接焼入れが可能となります。

自動車用ばねの軽量化

コイルばね

当社は素材から製品までの一貫メーカーとして、材料開発、工法開発の両面から自動車用ばねの軽量化に取り組み、自動車のCO2排出量削減に貢献しています。
材料、工法それぞれにおいて開発が進められ、「当社開発鋼②+基本工法」、及び「規格鋼+工法改良②」まで実用化段階にあります。これらは、「規格鋼+基本工法」から製品で約20%の軽量化を達成しています。
現在は、材料開発と工法改良を組み合わせる開発を進めており、引き続き自動車用ばねの軽量化により、環境負荷低減に貢献してまいります。

スタビライザ

中空スタビライザに当社独自の内面加工技術を適用することにより、耐久性が向上し、薄肉化が可能となります。
スタビライザ製品で20%以上の軽量化を実現しました。遅くとも2025年度からの量産開始を予定しています。

中空スタビライザ

高機能粉末

金属軟磁性粉末は、スマートフォンや自動車等の通信・制御機器に搭載される電子部品に使用されています。
自動車の電動化、自動運転化により、電気制御部品に使用されるインダクター用の軟磁性粉末等、今後需要は拡大していくものと思われます。
機器の小型化、高周波化に対応するエネルギー損失の少ない車載用高機能軟磁性粉末の開発に取り組んでおります。