PROJECT CROSS TALK

営業×設計×開発 プロジェクト座談会

次世代自動車に向けた、
製品軽量化への挑戦 

PROJECT CROSS TALK

営業×設計×開発 プロジェクト座談会

次世代自動車に向けた、
製品軽量化への挑戦 

PROLOGUE

CO2排出量の削減を目指して、軽量化が進む自動車。そのサスペンションに使われる自動車用懸架ばねにも、シビアな軽量化が要求されます。数年後の次世代車に採用されるばねをつくるために、耐久性を確保しながら10g単位の軽量化に挑む。それは、技術者による試作と検証の繰り返しです。ただし技術の壁を超えるだけでは、製品としてつくりあげてお客様の工場へ届けることはできません。客先との窓口となりプロジェクトの推進を担う営業担当、要求される仕様を形にする設計者、新しい材料や工法を探る開発者。それぞれが自分の役割を果たしながら連携することで初めて、世界的な自動車メーカーからの高度な軽量化ニーズに対応できるようになるのです。

写真左から

酒田誠 MAKOTO SAKATA

営業本部 ばね営業部 ばね第一グループ

客先からの要求の社内展開、開発スケジュールの調整、価格交渉などを行いながら、プロジェクトのまとめ役を担う。

西澤克仁 KATSUHITO NISIZAWA

千葉製作所 技術部 設計第一グループ

技術的な窓口として客先に対応するとともに、仕様要求に合ったばねの設計、評価に携わる。

山崎智裕 TOMOHIRO YAMAZAKI

技術開発センター

新規開発鋼や製造方法の改良、開発などを通して、自動車用ばねの軽量化技術を研究する。

プロジェクトの発足

営業担当が窓口となり、客先の要望を社内へ展開

酒田
私たち営業は、日頃から、客先である自動車メーカーの担当者とコミュニケーションをはかりながら、新規車種の開発計画についての情報を収集しています。そうした中で2015年頃、先方から数年先に発売される新規車種に使われる自動車懸架用ばねのRFI(情報提供依頼書:Request For Information)をいただきました。私は早速そのRFIを社内に展開し、「三菱製鋼なら、こうした性能のばねを、こうした条件で納入することができます」という1次回答の取りまとめにかかりました。
西澤
酒田さんからのRFIを受けて、私たちは要求される仕様を実現するための検討に取り掛かりました。自動車用のばねへの仕様要求には、「耐久性」や「乗り心地」も当然ながらありますが、近年は常に「軽量化」が大きなテーマとなっています。
山崎
西澤さんたちが、軽量化したばねを設計できるように、新しい材料や工法を研究しているのが、私たち技術開発センターです。様々な研究を通して蓄積したばねに関するデータを西澤さんたちに提供し、要求される仕様を満たす設計に役立ててもらいます。

乗り越えた壁

新工法とトライ&エラーで切り開いた軽量化への道

西澤
ばねを単純に軽くすると、お客様の耐久性の基準を満たせません。加えて、ばねに与えられたスペースの中で乗り心地の良い特性のばねの形状にする必要もあります。さまざまな条件がある中で、既存の材料や形状だけの対応では、お客様の希望を満たすことができず、山崎さんに何度も試作品の評価を依頼し、トライ&エラーを重ねなくてはなりませんでした。
山崎
私たちは、「この材料、この工法でこれくらいの耐久性は確保しながら軽量化できる」というデータを持っています。しかし今回は、既存のデータが示す限界からさらに軽量化しようという難しい試みでした。また材料や形状の工夫だけでは、すべての仕様を満たすことができなかったため、かねてから私が研究していた新しい工法を使って軽量化したことも、試作品の評価や解析を繰り返さなくてはならない原因となりました。
酒田
技術陣に軽量化に挑んでもらう一方、営業としては物流面の提案に苦心しました。提案依頼を受けたのは、グローバルに展開される車種であり、お客様は当社が拠点を構えていない国での生産も計画されていましたから「信頼して任せていただける供給体制をいかに示すか?」を必死で考えました。

客先への提案

ビジネスを勝ち取るために、
営業と技術が連携

酒田
技術陣が仕様の検討を重ねる傍らで、私たち営業はお客様からの追加の情報収集や回答までのスケジュールの調整に取り組みます。そして「仕様を満たす製品ができる」という見込みがたったところで、西澤さんといっしょに客先の開発部門を訪問して、「今回の依頼に対しては、これで満足いただけます」という説明をします。またそれと並行して、先方の購買部門に大まかな価格の提示も行います。ここをクリアし、次のステージに乗れるかが、営業担当者としての勝負所になります。
西澤
私と酒田さんが客先へ訪問した帰り道は、大変です。担当者のコメントをどう思った?とか、もっとあの点をうまく伝えた方がよかったのでは?とか、意見を交わしたり、反省をしたり。客先の反応は、ビジネスになるかどうかにつながるポイントですから、ついつい熱い議論になります。
山崎
客先からの感触もさることながら、やはり研究所に携わる私としては、「競合する他社がどのくらいの軽量化をして提案しているか」が気になります。性能も軽さもベストなばねをつくる会社でありたい。そう考えながら、日々の研究に取り組んでいるわけですから。

プロジェクトから得たもの

これまでにない要望への対応を通した、
それぞれの学び。

酒田
私たちの仕事の成果は、当初にターゲットとした車種では採用されませんでした。しかし、その後に引き合いをいただいた車種で、山崎さんの新工法を使った提案が受注に至り、量産に向けて動いています。何よりも実績や信頼性が重視される自動車部品で従来にない工法の製品が採用された。すごい仕事ができたと思います。
山崎
あらためて学んだのは、新しいものというのは、「計画」→「実行」→「原因究明」→「改善」によってできていくということ。重要と考えることは、情報共有です。締切りが迫った段階では、チーム内の情報共有がすさまじくスムーズで、1日に2日分の仕事が進むほど。あのスピードを、普段から出していかなくてはいけません。
西澤
私の場合は、「目的を明確にして設計に取り組む大切さ」です。目的を持つことは、そこへ至る仮説をたてる第一歩。そして仮説がしっかりあれば、狙い通りにならなかった時の修正もしやすくなり、無駄が減ります。これから、より高度な要求に応えるために、設計に関する評価項目はますます増えるでしょう。ですから、目的志向を強くすることで、無駄を徹底して排除していかなくてはと思っています。

次のプロジェクトに向けて

設計、研究の成果をグローバルビジネスに

山崎
今回、自分の研究から生まれた新工法が軽量化に貢献することを、製品を通して確認できました。このことにより、当社のばね製造技術の底上げができました。今後は、関連部署と協力しながら、新工法を国内から中国、北米などの生産拠点へと展開し、より多くの軽いばねを世界の自動車に供給する体制づくりを進めていきたいですね。
西澤
新工法は、軽量化を実現することで、自動車メーカー、ひいてはドライバーの皆様にも喜んでいただけるものですが、私たち設計者としても新技術で設計の自由度が広がるわけですから大歓迎です。自分の設計したばねを使ったサスペンションのクルマが世界中で走る。そんな姿を思い描き仕事の糧としてきましたが、このプロジェクトを通して夢が現実に着実に近づいていると感じています。
酒田
2人の話を聞いていると、「技術者が苦労した研究やものづくりを、確実にビジネスに結び付けていくのが、私たち営業の使命なのだ」という思いを新たにします。グローバルな提案力をもっと高めたり、お客様との信頼関係を強化したりすることで、たくさんの次世代自動車に当社のばねを売り込んでいきたいと思います。

社員紹介